現代文の参考書には数多くの名著がありますが、その中でも異色の一冊が、内野博之『ライジング現代文―最高レベルの学力養成』です。
すでに入手困難になっている参考書ですが、現代文については最も優れた本の一つだと思っています。
ただし、万人におすすめできる参考書ではありません。現代文が好きな人、難関大の現代文を深く研究したい人、特に東大現代文を攻略したい人向けの一冊です。
なぜ『ライジング現代文』を高く評価するのか
内野さんは最も実力のある現代文講師の一人です。特に東大現代文の記述解答について、私の知る限り内野さんの右にでる人はいません。
ほとんどの現代文講師や参考書といっていることがかなり違っています。(同じようなことをいってはいますが、やっていることは違っています)
特に1994年東大の榊莫山『大和慕情』の解答にはやられました。いかに自分の読みがへなちょこかを思い知らされました。
最大の特徴は「文章の構造」を読むこと
『ライジング現代文』で特に勉強になるのが、文章の構造をとらえて問題を解くという考え方です。
たとえば「どういうことか」という設問に対して、本文中の表現を単純に言い換えたり、傍線部周辺の言葉を切り貼りしたりするだけではありません。
文章全体の段落分け・対比・分類などをとらえたうえで、傍線部の内容を説明します。
「どういうことか」=単なる言い換えではない。
これは特に東大現代文では重要です。傍線部をただ他の言葉に置き換えても説明ではない。傍線部を具体化し、「説明してみせる」ことが重要です。
ただ本文を切り貼りして解答を作るだけでは、「説明」にならない場合があります。このことを徹底的に学べるのが本書の大きな魅力です。
「段落分け」が現代文読解を変える
私が『ライジング現代文』から特に大きな影響を受けたのが、段落分けです。
段落分けをここまで重視する現代文の参考書は多くありません。私自身、この本を読んでその重要性に気づきました。
段落分けができる
↓
文章の構造が分かる
↓
文章が読める
↓
問題が解ける
私は現代文を読むうえで、この考え方は非常に重要だと考えています。
共通テストや東大現代文で高得点を目指す人は、文章をなんとなく読み進めるのではなく、「どこに切れ目があるのか」「何と何が対比されているのか」「それまでの内容をまとめている部分はないか」を考えながら読む訓練をするとよいでしょう。
『ライジング現代文』の難易度は高い
注意したいのは、『ライジング現代文』は現代文が苦手な高校生が最初に取り組む参考書ではないということです。
内容はかなり高度です。「とりあえず共通テストで平均点を取りたい」「現代文が苦手なので基礎から勉強したい」という人には、もっと取り組みやすい参考書から始めた方がよいでしょう。
どんな人におすすめ?
おすすめできる人
- 現代文が好きで、さらに読解力を高めたい人
- 東大など難関大学の記述現代文を攻略したい人
- 本文の「構造」を意識して読む方法を学びたい人
- 現代文の解答をより論理的に作れるようになりたい人
- 現代文を徹底的に研究したい人
あまりおすすめしない人
- 現代文がかなり苦手な人
- 短期間で最低限の受験対策をしたい人
- 他科目の勉強時間が不足している受験生
現代文が好きで極めたい、東大現代文を攻略したいという人には価値があります。
一方、大学受験は総合点で決まります。合格することだけを考えるなら、このレベルの現代文研究に時間を使うより、苦手科目や配点の高い科目を勉強した方が効率的な受験生も多いでしょう。
絶版・入手困難。高い中古価格で買う価値はある?
『ライジング現代文』は現在、新品では入手しにくく、中古市場でも高値になることがあります。
私自身にとっては1万円を払っても安いと思えるほど価値のある本です。
しかし、これは現代文を教えている立場からの評価です。普通の高校生が高額な中古価格で無理に購入する必要はないと思います。
現代文を極めたい人や東大現代文を深く研究したい人には非常に面白い本です。